新たな国民病「慢性腎臓病」
こんにちは。仙台かわすみ産業医事務所です。
今回のテーマは「慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)」についてです。
あまり耳にしないかもしれませんが、患者数は1,330万人、
20歳以上の成人の8人に1人いると考えられ、新たな国民病とも言われています。
慢性腎臓病は、メタボリックシンドロームとの関連が深く、誰でもかかる可能性がある病気です。
病気を防ぐために、腎臓のはたらきや、自分自身でできることを確認してみましょう!
◢ 腎臓のはたらき |
腎臓は、そら豆のような形をした、握りこぶしくらいの大きさの臓器で、腰のあたりに左右対称に2個あります。
➤腎臓の役割
腎臓の働きは、主に以下で、体の中の環境を正常に保つことができる役割があります。
①老廃物を体から排出 ②血圧を調節する ③血液をつくる司令官 ④体液量・イオンバランスを調節する ⑤強い骨をつくる |
➤慢性腎臓病とは慢性に経過するすべての腎臓病
慢性腎臓病(CKD)は、初期には自覚症状がほとんどありません。
それがこの病気の怖いところで、患者を増加させている原因でもあります。
CKDは早期治療で回復します。
しかし、腎臓は一度あるレベルまで悪くなってしまうと、自然に治ることはほとんどありません。
ほおっておくと、どんどん進行して透析療法や腎臓移植を行わなければいけなくなる可能性ががあります。
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◢ 慢性腎臓病の進行 |
➤CKDが進行するにつれて現れる症状
慢性腎臓病(CKD)が進行すると、夜間尿・むくみ・貧血・倦怠感・息切れなどの症状が現れてきます。
これらの症状が自覚されるときは、すでにCKDがかなり進行している場合が多いと言われています。つまり、体調の変化にきをつけているだけでは早期発見は難しいと言えます。
➤CKDの進行に伴い起きる健康リスク
●末期腎不全のリスク
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腎臓が十分にその役割を果たせなくなった状態を腎不全といいます。
腎不全になると、食事や水分などを制限が必要となり、更に腎臓の働きが低下すると、透析や腎臓移植を受ける必要性が高くなります。その場合は高頻度の通院や治療時間の長時間化、日常生活の制限など大きな影響が出てきます。
●脳卒中・心筋梗塞のリスク
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慢性腎臓病(CKD)があると、腎臓の働きが悪くなり、心臓・血管に負荷がかかります。
そうなると脳卒中・心筋梗塞の発症率を高めるリスクがあります。
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◢ 慢性腎臓病を早く見つけるには |
定期的に健康診断を受け、尿や血圧の検査をすることが早期発見につながります。
特に尿たんぱく陽性の方は要注意ですので、病院で詳しい検査を受けるようにしましょう。
➤自分でできる腎臓の健康チェック
慢性腎臓病(CKD)は、その重症度に応じて、ステージ1からステージ5の5段階に分けられています。
その指標となるのが推算糸球体濾過量(eGFR)です。
これは、腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示しており、この値が低いほど腎臓の働きが悪いということになります。
eGFRは血清クレアチニン値と年齢と性別から計算できます。 血清クレアチニン値は健康診断でも測定することがあるので、健診結果を確認してみましょう。
※会社毎に健康診断の項目は異なるため、血清クレアチニン値を測定していない場合がありますので、その場合は、病院などで検査が可能です。
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◢ 腎臓病を悪化させないために |
慢性腎臓病(CKD)は早期であれば治療で回復しますが、
腎臓機能がある程度まで低下してしまうと、元に戻すことはきわめて難しいとされています。
CKDの治療は日々の生活習慣の改善、食事療法や薬物治療による血圧管理、貧血改善、脂質管理、血糖管理、塩分摂取制限などを総合的におこなうことが必要です。また病気の進行度合いや症状に応じた、適切な治療をおこなうために、定期的な検査が重要です。万一、腎臓機能が低下してしまっている場合には、進行を遅らせる治療が必要です。この場合も総合的な管理が必要になります。
➤こんな生活習慣は注意!
●飲酒
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適度の飲酒は危険因子とはなりません。しかし、過度の飲酒は、CKDや末期腎不全の危険因子となりうるので注意しましょう。
●喫煙
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喫煙は発症・進行に関与していると考えられます。また、喫煙は心血管病などさまざまな病気の危険因子でもあるので、まずは禁煙することが重要です。
★節酒、禁煙、減塩、運動不足解消等は腎臓を守る基本です。
日々の生活習慣を改善し、健康に過ごせるよう心がけましょう!