健康診断でSOSをキャッチ!「腎機能」編
こんにちは。メディカルロゼです。
7月に健診結果からみる「肝機能」についてお伝えしましたが、
今回はその続編「腎機能」についてお話ししたいと思います。
◆肝臓の主な働きって? |
腎臓は、血液をろ過して老廃物や塩分を尿として体の外へ追い出してくれます。
また、体に必要なものは再吸収し、体内に留める働きをしています。
★腎臓の機能が低下している意味
からだに不要な老廃物を体外に排出する働きが落ちているということ。
ほおっておくと、腎機能障害や腎不全となって人工透析が必要になり、日常生活に大きな支障をきたす恐れがあります。
また、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす要因にもなります。
◆肝臓の健康状態がわかる主な検査値 |
健康診断結果の【腎機能】の欄・下記項目で基準値を上回っていると、以下の病気が考えられます。
検査項目:尿素窒素(BUN) 基準値:9~21mg/dL 特徴:高度な腎機能障害で上昇するが、健診では食事の影響や脱水症で上昇することが多い 高値で考えられる病気:脱水、血圧低下、心不全など腎血流の減少・腎機能障害・消化管出血・甲状腺機能亢進症
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検査項目:クレアチニン 基準値:男(0.60-1-20mg/dL)、女(0.40-0.90mg/dL) 特徴:筋肉で分解され、尿に排出、食事の影響を受けにくく、尿素窒素よりも腎機能を的確に反映 高値で考えられる病気:脱水、血圧低下、心不全など腎血流の減少・腎機能障害・筋肉量の増加
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検査項目:尿酸 基準値:男(3.0-7.2mg/dL)、女(2.1-6.0mg/dL) 特徴:尿酸が腎臓からうまく排泄されない場合や、尿酸の成分となるプリン体の過剰摂取(過食・美食・大量アルコール摂取)などで高値になる 高値で考えられる病気:高尿酸血症、痛風・腎機能障害・脳血管疾患、虚血性心疾患
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★推定糸球体濾過量 (eGFR)
eGFRは腎機能を表す指針です:糸球体の濾過の程度(腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示す)を表わす
>90%…正常 60~89%…正常~軽度低下 45~59%…軽度~中等度低下 30~44%…中等度~高度低下 15~29%…高度低下 <15%…末期腎不全
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上記の数値が低いほど、腎臓の機能が低下していることを示す高血圧症、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙などが要因となり、機能低下をもたらす。
・eGFRが60%未満 ➜慢性腎臓病(CKD)
・eGFRが15%未満 ➜末期腎不全 (透析や移植が必要)
◆その他の検査:尿検査で早期発見できる病気もあります |
●検査項目…検査結果に異常がみられる場合に考えられる病気
●尿蛋白(腎臓からもれ出る尿中の蛋白を検出、腎障害の早期発見に有効)…腎臓病(慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症など)
その他尿路の感染症・結石 溶血性貧血
●尿潜血(尿中の肉眼では確認できない血液を検出する検査)…尿の通り道のどこかに出血源がある:腎臓・尿路系の炎症・結石・腫瘍/溶血性貧血など血液の病気/性器出血
●尿沈渣(尿中に赤血球や白血球、上皮細胞などの細胞や結晶の混入を検出する検査)…尿の通り道のどこかに病変がある:腎臓・尿路系の炎症・結石感染症・腫瘍など
★臓病(CKD:Chronic Kidney Disease) |
腎臓の働きが慢性的に低下した状態を慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)といいます。
CKD は透析治療が必要になるほど進行する直前まで、ほぼ自覚症状に現れません。そのため腎機能の検査で
異常が発見されたら、自覚症状がなくても受診し、治療が必要と判断されたら治療を継続することが大切です。
早い段階のCKD であれば治療によって腎機能が改善することも少なくないため、
①定期的に健康診断を受けること
②結果判定に対応すること
上記がCKD の早期発見と予防につながります。
◆CKDと生活習慣病の関係とは |
メタボリックシンドロームの指標となる糖尿病、高血圧症、脂質異常症は腎臓の働きを低下させる要因になります。
つまりメタボリックシンドロームの人はCKDになりやすい傾向にあります。
◆メタボリックシンドロームはCKDの発症と進行の危険因子 |
■内臓脂肪型肥満+腎臓 内臓脂肪型肥満になると、糖尿病性腎症の指標であるアルプミン尿(たんぱく尿の一種)が出やすくなることが知られています。自慢の人は糖尿病や高血圧症を合併していることも多く、体重を適正に管理することが重要です。
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■糖尿病+腎臓 実は、高血糖の状態が続く糖尿病は、透析療法にいたる原因取る病気の第1位です。糖尿病になると腎臓の尿を作る働きが低下し、体内に余分な老廃物や水分がたまります。そのことがさらに腎臓に負担をかけることになります。
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■高血圧症+腎臓 高血圧になると腎臓の働きが悪くなり、腎臓の働きがわるくなると高血圧が悪化するという悪循環の関係にあります。そのため血圧のコントロールは極めて重要です。
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■脂質異常症+腎臓 脂質異常症は、慢性腎臓病(CKD)の発症と進行の危険因子です。また、動脈硬化は心血管病の危険因子でもあるので、コレステロール値を目標値まで下げることが重要です。
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◆腎機能を悪化させないために気を付けたい生活習慣 |
①喫煙は控えましょう
喫煙は慢性腎臓病(CKD)の発症・進行に関与していると考えられます。また、喫煙は心血管病などさまざまな病気の危険因子でもあるので、まずは禁煙することが重要です。
②お酒の飲みすぎに注意!
適度の飲酒は慢性腎臓病(CKD)の危険因子とはなりません。しかし、過度の飲酒は、慢性腎臓病(CKD)や末期腎不全の危険因子となりうるので注意しましょう。
③運動習慣を身に付ける
糖尿病や高血圧症の発症を抑えたり、適正な体重を維持するためにも運動することが重要です。自分の体力や体調にあわせて、適度な運動を定期的におこないましょう。
④不規則な生活
無理な残業などによる過労を避け、睡眠を十分にとりましょう。ストレスも大敵です。
CKD予防の生活習慣≒メタボ予防・改善の生活習慣
生活習慣を見直し、健やかな日々を過ごせるよう是非取り組んでみてくださいね。