更年期障害の話①
3月の女性の健康習慣に合わせ、今回は2月と3月に分けて、性別で違う身体や病気について、お届けします。
体格やホルモンバランス、働き方や生活習慣など「男女の違い」が影響する健康課題についての知識や情報を深めましょう。
🍊同じ疾患にも「性差」がある |
女性特有、男性特有の健康課題の解決が社会的に重視される中、
注目が高まっているのが性差医療です。
男女の体には泌尿器・生殖器という大きな違いもありますが、男女共通の臓器も含めて性差やライフステージ(年代)に配慮しながら、診断や治療・予防に反映するという新しい医療の在り方です。
まずは、自分自身が性差に対する知識を持つことで、対処できることが増える可能性もあります。
🚹男性に多い疾患
①糖尿病…70.8
(女性は41.6)
②狭心症・心筋梗塞…23.3
(女性は12.4)
③痛風…21.0
(女性は1.1)
※数字は人口千対
🚺女性に多い疾患
①脂質異常症…77.2
(男性は53.7)
②腰痛症…53.5
(男性は42.1)
③骨粗しょう症…37.4
(男性は2.8)
※数字は人口千対
上記は、厚生労働省「2022年国民生活基礎調査の概況」で報告されている通院者率(通院している者「通院者」の人口千人あたりの割合)で、
男女差がある主な疾患です。
※脂質異常症
50代前半までは男性の通院者率の方が高いが、50代後半から女性の方が高くなる。
※骨粗しょう症
40代までの通院者率は男女差はあまりないが、50台前後から年齢とともに女性の方が上昇する。
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🍊性ホルモンの違いが疾患に影響 |
男女では、持っている臓器の一部が異なります。また、それぞれの臓器から性ホルモンを出すことで臓器は機能を維持しています。男女それぞれの特有の臓器とホルモン、それらの機能や体内での役割について知っておくことが大切です。
●男性ホルモン:テストステロン |
💪役割
😟減少すると…
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●女性ホルモン:エストロゲン |
💪役割 妊娠や出産だけでなく、女性らしさを高めてくれるホルモンとして、 ⇓ 😟減少すると… 分泌量は50歳前後の閉経期を境に急激に減少、
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【男女の更年期障害の違い】
●男性ホルモン:テストステロン
主な減少原因は①加齢と②ストレス
⇓
テストステロンの減少の原因は投下減少の一環、過労や退職など、社会的な要因が大きく関係している。
一定の期間に限定的に起こるものではない。
●女性ホルモン:エストロゲン
減少原因は「閉経」
⇓
「閉経」という大きなライフイベントに伴い、エストロゲンは激減する。閉経前後の5年=計10年程度、閉経後数年で症状は治まるため、老化現象とは異なる。
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🍊男性の更年期障害の特徴 |
■男性の更年期障害
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男性は、テストステロンの減少により、
「加齢男性性腺機能低下/LOH(ロー)症候群」と呼ばれる様々な不調が起こります。
LOH症候群は一般的に男性の更年期障害と呼ばれています。
■症状
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【精神症状の一例】
不安/イライラする/不眠/記憶力や集中力の低下/性欲の減少
【身体症状の一例】
筋力低下/疲労感/ほてり・のぼせ/発汗/頭痛/めまい/耳鳴り/頻尿
■特徴
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「休日のひきこもり」「定年後うつ」に注意
テストステロンは社会で活躍するために不可欠なホルモンで、
減少してしまうことでその人を引きこもりがち・非社会的にしてしまうことがあります。
しばしば定年退職後に社会的評価や刺激を受けなくなることからうつ症状を呈する方もみられますが、
この年代の男性のうつ病や抑うつ状態も、 男性の更年期障害の一環として捉えられる場合もあります。
■治療
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検査は泌尿器科で可能です。
テストステロンが著しく減少しており症状が重い場合には、
注射(筋肉注射)や内服薬、外用薬を用いて補う「ホルモン補充療法」の適用になることもあります。
一概に更年期障害と言っても、男女では大きな違いがあります。
今回は男性の更年期障害に特にフォーカスをあててお伝えしました。
更年期障害に悩む中高年の男性が増えており、メンズヘルス外来などの専門機関も続々と登場しています。
更年期症状がまだの方も、知識をもっておくことが大切です。
男性更年期障害セルフチェック(AMSスコア)というセルフチェックツールもありますので活用してみましょう。