耳鳴りの基礎知識
周りに音がなくても聞こえる現象を耳鳴りといい、特に65歳以上の人の約30%が耳鳴りの経験があるという報告もあります。耳鳴りのある人全員が重症のわけではありませんが、約5%の人が慢性化したり、頻発したるする耳鳴りを苦痛に感じていると言われています。また、耳鳴りによるストレスを放置すると、自律神経に悪影響を及ぼしひどくなることがあります。
耳は大きく【外耳】【中耳】【内耳】の3つに分かれています。
【外耳】、【中耳】は伝音系といって音を集め、感音系の【内耳】に伝えます。
感音系の【内耳】は音を電気信号に変え、脳にどんな音かを理解させて役割です。
多くの耳鳴りの原因となっているのは感音系の障害によるものと言われています。
♢耳鳴りの原因となる主な病気
- 外耳の病気:耳垢栓塞、外耳炎、外耳道狭窄など
- 中耳の病気:耳管狭窄症、滲出性中耳炎、急性・慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎など
- 内耳の病気:メニエール病、突発性難聴、騒音性難聴、老人性難聴など
- 聴神経・中枢感覚路の病気:聴神経腫瘍、脳梗塞、脳出血など
- その他:心因性、更年期障害、薬物中毒など
これら以外にも原因不明の耳鳴りもあります。
♢耳鳴りには2種類あります
- 自覚的耳鳴り
音源がどこにもないのに、本人には聞こえる耳鳴りです。
内耳や聴神経などの異常の他、過労やストレスでも起こりますが、防音室や静かな夜などに感じる聴覚の異常ではない生理的な耳鳴りもあります。
- 他覚的耳鳴り
耳の周りの筋肉・関節・血管の音などが本人だけでなく、他人にも聞こえる耳鳴りです。
これは、聴覚の異常でなく、耳の周囲の異常によるもので、外科的な治療もしくは血行を促進することで改善されます。
こんな症状がでたら早めに受診しましょう!
- 突然、耳が聞こえなくなる
- 頑固な耳鳴り
- 激しいめまい
- 頭痛がある
♢日常生活でできる耳鳴り対策
原因となる病気がない場合は、ストレスや精神的なものが多いと言われています。生活リズムの乱れや栄養バランスの崩れはストレスとなり、それが原因で自律神経の働きを乱し、耳鳴りとなって現れる場合があります。
以下のことにも注意しながら、できるだけ耳鳴りを意識する前の生活に戻ることを心掛けましょう。
- 十分な睡眠
- 生活リズムを整える
- 楽しめる趣味
- 適度な運動
- バランスの良い食事
- 入浴(※長時間の高温の入浴は控えましょう)
疲労や睡眠不足、ストレス、喫煙には気をつける必要があります。
タバコには内耳の血流を悪くしてしまう影響があり、刺激物や過度の飲酒も耳鳴りを大きくすることがあります。
摂りすぎに注意しましょう。
♢最後に
ほとんどの耳鳴りは心配いらないものですが、まれに重大な病気の初期症状であることもあります。また、突発性難聴など早期治療の必要がある病気もあります。原因となる病気を治療すれば、耳鳴りがなくなることもあります。気になったら病院へ相談しましょう。